締め切りをくれ
卒論のことである。
当たり前だが、締め切りはある。12月13日。
でっどおああらいぶ。卒業できるかは、卒論を提出できるかにかかっている。
楽しい年末を過ごせるかどうかも。
そんな最終締め切りではなくて、中間締め切りが欲しいのだ。
無粋だけれど、◯月△日に半分まで書いて提出、出来なきゃ怒られる、みたいなやつ。
自分で決めてはだめなのだ。提出物、定期テスト、レポート、イベントの準備、振込、旅行のパッキング、いつもギリギリ。決めた計画通りに進んだことはない。
人にもらった素敵なお菓子を食べてしまうのがもったいなくて、賞味期限に滑り込みで食べるなんてこともしょっちゅう。
強制されたい。縛られたい。お仕置きはきつめで。
「こうあるべき」に束縛されるのに耐えられないわたしが、文学をめぐる締め切りにだけは縛られてやっても良いと思う。
書かなきゃいけない、それは分かっている。
でも書けない。書かない。
書き始めたら、思考の海でああでもない、こうでもないにもまれるから。
溺れているみたいで苦しい。
海は広くて進めば進むほど自論の反証がこちらへ押し寄せてくる感じがする。
反証たちにぶつかられながらわたしを擁護してくれるものを見つけて装備し、ジスウトネムケという名の怪物を倒しに行くのだ。
そいつを倒してもカキタイコトカケテイルカという海のドンが待っている。
だから、嫌なのだ。苦しい。頭がぐるぐるする。目はチカチカする。
でも、書く。
わたしの論文はわたししか書いてくれない。
はぁ!やりますか。
あ、でも今日は寝る。