かにのにかブログ

日々のモノローグ置き場。

ジョウチョフアンテイ

あの時のあなたの心理状態を把握しておきたいから教えて欲しい、私はマネージャーとしてその義務がある

と、上司は言った。

モルモットにでもなった気分だった。その人が心理学を学んだことがある人で、わたしのカイシャ上でのヒョウカをつける最終責任者なことに、心の中では呪詛を吐いていた。

忘年会兼送別会の次の日のことで、わたしは確かに、やらかした。忘年会、新部長になるその上司の前で、移動する前部長との別れに、メソメソ泣いた。メソメソどころではなく、盛大に泣いた。写真を見返したら泣きながら色紙を渡し、部長に抱きつくダメダメ新入社員が写っていて、わたしはわたしが大嫌いになった。

5月配属から12月までお世話になった部長は、部下の責任を正当に背負い、前向きに厳しい言葉をかけてくれる、正面に立てば見透かされているような気分にもなるけど、うちの部の精神的な支柱であり、関わったのがほんの短い間でも尊敬していて、今でもとても好きで、存在が支えになるような人だったのだ。

 

次の日、泣きはらしたとわかる顔で非常に恐縮しながら前部長に謝りに行ったけど、笑ってフォローされて、ますます自分の未熟さを実感した。部内では既に笑い話になっていた。

しゅんとして見えないのが悪かったのだろうか、追い討ちのように、学生じゃないんだから、あれはやりすぎだよね、前部長も困ってたでしょ、私としては情緒不安定を疑っちゃうんだけど、あれは自分の感情が溢れちゃうと定期的になっちゃうの?の次に冒頭の要求をしてきた新部長への答えとしては、

前部長がいなくなってしまうことは新体制への、大きな変化への不安を象徴していて、寂しさと恐怖が相まって涙してしまったのだ、端的に言えばあなたが部長になるこれからが心配です、

が1番近いのだけど、お前なんかに把握されてたまるか、と思って「えー、どうなんですかね」とのらりくらり言っていたら諦めてくれた。待ってても一生言わないと分かってくれるその感じは好きなんだけど。しかも情緒不安定って言いえて妙ね。あなたの使う意味では多分当てはまらないけど。

そしてわたしは決してわたしをそう表現したあなたの言葉を忘れないし、情緒がおかしいと言われてへこんだあの時のわたしのことも忘れないであげる。

 

あとで先輩から聞いた話だけど、昔から前部長派と、新部長派は緩やかに分かれていたらしい。わたしの涙は反旗にでも見えたかしら。

 

ああ、カイシャってめんどくさい!