かにのにかブログ

日々のモノローグ置き場。

同じキャッチに2度声をかけられる

先週、最寄駅で「少しお時間よろしいですか」と声をかけられた。

黒い革靴、黒いスーツに黒いネクタイ、黒い髪をした背の高いお兄さん。

ちょっと顔が怖い。

少し会釈をして無言で通り過ぎる。

 

就活も終わり、ハイライトを入れたロングヘア。後輩に言わせるとギャルギャルしい髪型にしたせいか、最近声をかけられることが多くなった。

声をかけてくる人は、周りの通行人と違って、こちらをロックオンしてまっすぐに向かってくるからすぐそれとわかる。目を合わさないよう、俯き加減で足早に何も起こらないでほしいと歩くのに、声をかけてくる。

 

なぜ声をかけられたくないか。

話を聞いたら最後、ついて行ってしまいそうになるからだ。それが美容院にしろ、キャバにしろ、アンケートにしろ、募金にしろ。ほだされやすい自覚はある。

テレビショッピングなんかを見ていると、すぐにその商品が良いものなんじゃないかと思ってしまうわたしは、多分人に対面で何かを勧められたり、お願いされることに弱い。それがテレビ越しでなくて直接ならなおさらだ。

声をかけるまでの労力なんかを思いやってしまうともうダメだ。断るのが申し訳ない気になってくる。

だから、話を聞かずに通り過ぎるのが一番。

 

黒づくめでちょっと顔が怖いお兄さんは、今日もわたしめがけて大股で歩いてきて「お姉さん、少しお時間よろしいですか」と言った。

バイトの時間もギリギリなわたしはまた目を合わせずに通り過ごす。

 

さて、お兄さんは先週も同じ人物に声かけたこと、わかっているのかしら。

駅近くに新しいガールズバーでも出来るのかしら。

いったい何時間あそこで女の子に声をかけているのかしら。実は対象は女性とは決まっていないかも。

黒づくめで顔が怖いけど、実は飼っている猫の子どもの里親を探しているとかだったら面白い、選ばれし者にしか、子猫は渡さん!とか。

黒づくめで顔が怖いけど、実は我流で登りつめた凄腕メークアップアーティストで、わたしの顔をキャンバスに、作品作りをしたくなってしまった、とかも面白い。

黒づくめなのは黒と白しか服がないから。シンプルイズザベストで、部屋は生活感がなく、あるのは最低限必要なものと読みかけの小説。家には本当に信頼できる昔からの仲間しか入れない。年の離れた弟がいて、今は家を出て別に暮らしているけど、弟会いたさに週2回は実家へご飯を食べに行く。恋人はいないけど、現在スウェーデンから来た大学3年生にひょんなことから熱烈に口説かれ中。だったりして。

とかとか、答えを知らないからこそできる妄想を楽しんでいる。おもしろきことは良きことである。

お兄さん、ありがとう。

 

まさかの3回目、声をかけられたら、少し話を聞くのも良いかもしれない。